高齢者の運転免許更新、認知機能検査の内容とは?

高齢者による交通事故が社会問題となる中、注目されているのが「認知機能検査」の制度です。75歳以上のドライバーが運転免許を更新する際には、認知症の可能性を確認するための検査を受ける必要があります。「本当に大丈夫なのか?」「免許を返納すべきか?」と悩む高齢者本人、そして不安を感じる現役世代にとっても、この検査制度は重要な意味を持っています。この記事では、道路交通法に基づいた最新の認知機能検査の内容や、検査後の流れ、免許更新の可否などをわかりやすく解説します。
なぜ認知機能検査が必要なのか?
高齢ドライバーによる運転ミスが社会問題化する中、75歳以上の免許更新には「認知機能検査」が義務付けられています。現役世代が抱く「高齢者の運転リスク」への不安を受け、自ら運転免許更新を控える高齢者にとっても、自分の認知機能を客観的に確認できる制度となっています。
誰が、いつ、どこで認知症検査を受けるのか?
75歳以上の運転免許保有者は、免許の有効期間が満了する日の6か月前から更新手続きの際、必ずこの検査を受ける必要があります。警察庁からは更新案内はがきとともに「認知機能検査受検のお知らせ」が届き、運転免許センターや指定の教習所で予約のうえ受検します。期限内に受けなければ更新できないため、計画的な受検が求められます。
検査の中身は?――「手がかり再生」と「時間の見当識」
検査はシンプルながら、記憶力と判断力の基礎をチェックするものです。
まず「手がかり再生」と呼ばれる課題では、イラスト16枚を提示され、介入課題をはさんだ後、ヒントなし・ありの二段階でどれだけ記憶できているかを記入形式で回答します。次に「時間の見当識」で、検査日時の年・月・日・曜日・時間を答えさせられ、時間感覚の正確性をはかります。
以前は「時計描写」などもありましたが、2022年の法改正で廃止されました。
結果はどう評価される?「恐れあり/なし」の二分類
検査後、得点は100点満点で評価され、36点以上で「認知症のおそれなし」、35点以下は「認知症のおそれあり」と判定されます。この判定結果に応じて、その後の手続きが変わります。
「おそれあり」の場合:専門医による診断が必要
35点以下の結果では臨時的な措置として専門医による診断書の提出または臨時適性検査が求められます 。診断の結果、認知症と認定されれば免許更新ができない可能性があるため、慎重な対応が必要です。
更新がスムーズになる流れ
36点以上と判定されれば、約1~2時間の高齢者講習の受講が求められ、その後に更新手続きへ進むことができます
。手数料は検査が1,050円、高齢者講習は普通車で約6,600円です(2025年末以降、やや変動予定)。
更新以外に受けるケースも、臨時認知機能検査とは?
75歳以上で違反歴がある場合、更新時に限らず「臨時認知機能検査」を受ける制度もあります。対象者には公安委員会から通知があり、原則1か月内に検査が義務付けられます。内容は更新時と同じ2項目のテストですが、結果によっては免許取り消しもあり得るため注意が必要です 。
制度の背景と目的
2022年5月の道路交通法改正では、高齢ドライバーへの対応強化が進められました。認知検査は運転に直結する機能を点検する重要な手段であり、違反歴者には実技による運転技能検査も組み合わせた対応へ進化しています。背景には、高齢者による事故が増加傾向にある現状があります。
現役世代・高齢者本人が知るべきポイント
現役世代の方にとっては、「検査で判断力に問題があれば運転制限や免許取り消しにつながる制度だ」と知るだけでも一定の安心感につながります。一方で高齢者本人にとっては、この制度は単なるチェックではなく、認知機能を維持・改善する動機づけにもなります。
検査の受験を通じて、自分の運転能力を客観的に見直し、必要に応じて生活スタイルや運転環境を見直すきっかけにもなるでしょう。とくに「臨時検査」対象になった場合には、周囲の協力や家族との話し合いが急務となる場面もあります。
まとめ
75歳以上の高齢ドライバーが免許更新時に受ける認知検査は、記憶力と時間感覚を測る2項目で構成され、36点が継続の境目です。点数次第では医師診断や技能検査が必要になり、免許の継続に影響を及ぼします。これは高齢者自身の安全運転を支えるものでもあり、現役世代が理解と配慮を持って接するべき重要な制度と言えるでしょう。
ぜひ読む方それぞれが「他人事ではない」と意識しておきたい内容です。