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親の財産管理はいつ始めるべきか、口座凍結になる前に家族が知っておくべきこと

親の財産管理はいつ始めるべきか、口座凍結になる前に家族が知っておくべきこと

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「親の通帳やお金のことは、まだ本人に任せておけばいい」——そう思っているうちに、突然銀行口座が凍結されてしまった。そんなケースが、高齢化が進む日本で急増しています。

口座が凍結されると、たとえ介護費用のためであっても、親の預金を引き出すことができなくなります。解除には家庭裁判所を通じた手続きが必要で、3〜4ヶ月かかることも珍しくありません。その間、費用を家族が立て替えるしかない状況になります。

こうした事態を防ぐには、親が元気で判断能力があるうちに動き出すことが重要です。この記事では、財産管理を始めるべきタイミングのサインと、具体的な対策をまとめて解説します。

なぜ口座が凍結されるのか

銀行が口座名義人の認知症を知るタイミングはさまざまです。本人が一人で窓口に来た際に銀行員が認知機能の低下に気づく場合、家族が施設入居のための定期預金解約に来た際に発覚する場合、ATMの操作がうまくできず声をかけられる場合などがあります。

口座凍結は「財産を守る」ことが目的ですが、凍結されると預金の引き出し・振込・解約のすべてが停止されます。年金の自動受取や公共料金の自動引き落としは継続されますが、介護施設の入居費用や医療費の支払いに親の預金を使うことができなくなります。

凍結を解除するには成年後見制度(法定後見)を利用するしかなく、家庭裁判所への申立てから後見人が選任されるまでに数ヶ月かかります。その間の費用はすべて家族が立て替えることになります。

財産管理を始めるべきタイミングのサイン

「いつ始めるか」の判断が難しいという声をよく聞きます。目安となるサインを知っておくと動きやすくなります。

場面気になるサイン
お金の管理同じ引き出しを繰り返す、財布の中に大量の現金がある、支払いを間違える
通帳・書類通帳の置き場所を忘れる、請求書が未開封のまま積まれている
電話・契約不審な電話に長時間対応している、覚えのない契約や定期購入がある
日常生活同じことを繰り返し聞く、最近の出来事を覚えていない
年齢・状況75歳以上、独居、遠方に住んでいる

一つでも思い当たることがあれば、「まだ大丈夫」と先延ばしにせず、家族で話し合いを始めるタイミングです。対策の多くは親の判断能力があるうちにしか進められません。

具体的な対策と選び方

親の財産管理への備えとして、主に3つの方法があります。それぞれ開始できるタイミングや費用、できることが異なります。

銀行の代理人登録・代理人カード

多くの銀行では、口座名義人の同意のもとに家族を「代理人」として登録し、代理人用のキャッシュカードを発行するサービスを提供しています。手続きは各銀行の窓口で完結し、費用はほとんどかかりません。登録した代理人が親の口座から引き出しや振込を行えるようになります。

ただし、この制度はあくまで「本人の同意がある状態」での代理です。口座が凍結された後には使えませんし、代理人の権限範囲は銀行ごとに異なります。まず手軽に始められる最初のステップとして位置づけるのが現実的です。

家族信託

家族信託とは、親が元気なうちに「自分の財産の管理・運用を信頼できる家族に任せる」という契約を結ぶ制度です。信託法に基づいた正式な法律契約であり、預貯金だけでなく不動産なども対象にできます。

最大のメリットは、契約後は家族だけで財産管理が完結できる点です。裁判所が関与せず、柔軟な運用が可能です。また、親が認知症になった後も信託契約の効力は継続されるため、口座凍結の問題を根本的に回避できます。

一方、契約には司法書士や弁護士のサポートが必要で、初期費用として数十万円程度かかるのが一般的です。また、家族信託は財産管理に特化しており、医療や介護の契約手続きなど「身上監護」には対応していません。

任意後見制度

任意後見制度は、親が判断能力のあるうちに「将来、自分の判断能力が低下したときに後見人になってもらう人」をあらかじめ公正証書で決めておく制度です。実際に親の判断能力が低下した時点で家庭裁判所に申立てを行い、任意後見監督人が選任されてから効力が始まります。

財産管理だけでなく、医療や介護サービスの契約など身上監護も含めた幅広いサポートが可能です。ただし、家庭裁判所の監督が入るため、毎月の収支報告などの事務負担が発生します。また任意後見監督人への報酬(月額1〜2万円程度)が継続的にかかります。

3つの対策の比較

項目代理人登録家族信託任意後見
開始できるタイミング判断能力があるうち判断能力があるうち判断能力があるうち
認知症後の継続不可(口座凍結で終了)可能可能(申立て後)
費用目安ほぼ無料数十万円(初期)数万〜十数万円(初期)+月額費用
対象範囲特定の銀行口座のみ信託した財産のみ財産管理+身上監護
裁判所の関与なしなしあり
手続きの手軽さ簡単専門家が必要専門家が必要

どこに相談すればいいか

家族信託や任意後見は、司法書士または弁護士に相談するのが基本です。費用や手続きの流れを無料相談で確認してから進める事務所も多くあります。「家族信託」「任意後見」で地域名と合わせて検索すると相談窓口を見つけられます。

「まだ先の話」と感じているうちが、最も選択肢が多く動きやすいタイミングです。口座が凍結されてからでは、できることが大幅に限られてしまいます。親が元気で話し合いができる今のうちに、家族で一度「お金のこと」を話し合ってみてください。

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