かかりつけ医の選び方と在宅医療とは|訪問診療・往診の違いと始め方をわかりやすく解説

この記事はプロモーションが含まれます。
「体のことを何でも相談できる医師がいない」「具合が悪くなるたびに違う病院に行っている」——こうした状況は、高齢者の医療を不安定にする大きな要因のひとつです。複数の病気を抱えることが多い高齢者にとって、日頃から体の状態を把握してくれる「かかりつけ医」の存在は、安心して暮らし続けるための土台になります。
この記事では、かかりつけ医を選ぶポイントと、通院が難しくなったときに使える「在宅医療(訪問診療・往診)」の仕組みと始め方を解説します。
かかりつけ医とは
かかりつけ医とは、体の不調や健康上の不安を最初に相談できる、身近な診療所・クリニックの医師のことです。特定の診療科に限らず、風邪・高血圧・糖尿病・物忘れなど幅広い症状に対応し、必要に応じて専門の病院に紹介状を書いてくれる役割を担います。
体調不良のときにどの診療科を受診すればよいか、どの病院に行くと適切な医療を受けられるかを一人で悩まずに済むことがかかりつけ医を持つ大きな利点です。特に高齢者は、自宅から近い場所にかかりつけ医があると、体調が良くないときにすぐ相談できます。
寝たきりや寝たきりに近い状態を早期に予防するためには、定期的に往診(訪問診療)してくれて、訪問看護ステーション・ホームヘルパーサービス・デイサービスなどを紹介してくれるかかりつけ医を持つことが大切です。
かかりつけ医を選ぶときの5つのポイント
1. 自宅から通いやすい場所にある
体調が悪いときでも無理なく受診できる距離であることが基本です。徒歩や自転車で行ける範囲、またはバス1本で行ける場所にあるクリニックを候補にしましょう。
2. 何でも話しやすい雰囲気がある
「何でも気軽に話せる」ことがかかりつけ医としての重要な条件のひとつです。いくら高い医療技術を持っていても、患者さんとの相性が合わなければ気軽な相談は生まれません。実際に受診して自分や家族の目で確かめてみることが一番の方法です。
3. 複数の病気をまとめて診てくれる
高齢者は高血圧・糖尿病・心疾患・骨粗鬆症など複数の慢性疾患を同時に抱えることが多くあります。それぞれを別々の専門医に診てもらうことも大切ですが、全体的な状態を把握してくれる「総合的な窓口」となる医師がいることで、薬の飲み合わせの問題や体全体のバランスを見た管理が可能になります。
4. 専門病院への紹介・連携ができる
精密検査・入院・手術が必要になったときに適切な病院を紹介してもらい、退院後は再び近くのかかりつけ医で治療を継続できる「病診連携」が円滑に進む体制があることが重要です。退院後の経過管理や薬の調整をかかりつけ医に担ってもらえるかを確認しておきましょう。
5. 将来の在宅医療に対応できるか
将来、通院が難しくなったときに訪問診療に切り替えられるかどうかも確認しておくと安心です。在宅医療に対応しているクリニックや、訪問診療クリニックと連携している診療所を選ぶことで、生活の変化に合わせた医療の継続がスムーズになります。
在宅医療とは|訪問診療と往診の違い
足腰が弱くなって通院が難しくなった、入退院を繰り返すようになった——そうした段階で選択肢になるのが「在宅医療」です。在宅医療は大きく「訪問診療」と「往診」の2種類に分かれます。
| 項目 | 訪問診療 | 往診 |
|---|---|---|
| 定義 | 医師が定期的・計画的に自宅を訪問して診療する | 急な症状変化に対応して医師が臨時で自宅を訪問する |
| 頻度 | 月1〜2回程度(定期的に決まった曜日・時間) | 必要なときにその都度 |
| 計画性 | 在宅療養計画を立てて実施 | 計画なし・緊急対応 |
| 同意書 | 必要(患者・家族の署名) | 不要 |
| 目的 | 継続的な医療管理・慢性疾患の管理・看取りまで | 急な発熱・体調悪化などへの緊急対応 |
訪問診療は患者と医師の間で事前に計画を立てて行われる定期的な診療で、突発的な症状には対応しません。一方の往診は、「突然熱が出た」「突然腹痛になった」などの突発的な症状に対して、患者やご家族の要請を受けて医師が訪問するものです。
訪問診療で受けられる医療の内容
訪問診療では患者個別に作成する在宅療養計画に基づき、定期的に訪問して診療を行い総合的な医学管理を行います。追加的に患者や家族からの求めを受け医師が必要と判断した場合に往診を行うほか、治療上必要とされる注射・点滴・各種検査なども行います。
自宅で対応できる医療は病院に劣ると思われがちですが、血液検査・心電図・超音波検査・点滴・胃ろう管理・酸素療法・疼痛管理(緩和ケア)など、多くの処置が自宅でも可能になっています。健康保険による訪問診療と訪問看護、介護保険による訪問介護や福祉用具のレンタルなどを組み合わせることで、がんの患者さんが心穏やかに自分のペースで最期まで自宅で過ごすことが可能になってきています。
訪問診療を始めるまでの流れ
まず担当のケアマネジャーや入院先のソーシャルワーカーに相談することから始めます。訪問診療クリニックの相談員・看護師が自宅や入院先に説明に伺い、本人の症状や希望を聞いたうえで訪問診療の仕組み・緊急時の連絡方法・費用について説明します。その後、同意書を交わして訪問診療が開始されます。
かかりつけ医がいる場合は、まずかかりつけ医に「通院が難しくなってきたので訪問診療に切り替えたい」と相談することが最初のステップです。かかりつけ医が訪問診療に対応していない場合は、訪問診療専門のクリニックを紹介してもらえます。
在宅療養支援診療所とは
訪問診療を提供するクリニックの中でも、「在宅療養支援診療所(在支診)」の指定を受けた医療機関は、24時間365日の緊急対応と看取りまで対応できる体制を整えています。在宅療養支援診療所等の指定を受けている医療機関では24時間365日対応の体制を整えており、急に病状が悪化した場合もすぐに連絡できます。
「最期まで自宅で過ごしたい」という本人の希望を尊重したい場合は、在宅療養支援診療所を選ぶことで、緊急時の対応から看取りまでを一貫して任せることができます。訪問診療クリニックを探す際は、在支診の指定を受けているかどうかを確認しておきましょう。
まずかかりつけ医を持つことから始めましょう
在宅医療は突然始めるものではなく、日頃からかかりつけ医との関係を築いておくことで、必要なタイミングにスムーズに移行できます。まだかかりつけ医がいない方は、自宅から通いやすい内科・総合診療科のクリニックに定期的に受診することから始めてみましょう。
すでに複数の病院に通っている方は、その中で最も信頼でき、総合的に相談できると感じる医師を「中心となるかかりつけ医」として位置づけ、他の専門科との情報共有の窓口にしてもらうことが、医療の質を高めるうえで有効です。


